受賞ギャラリー
2015
グッドデザイン・未来づくりデザイン賞
福祉施設
福祉創造塾ふれあいの部屋
受賞対象の詳細
日本初、知的障がいのある方が小学校の余裕教室で活動する“場”。児童が自由にやってきて、障がいのある方と共に作業する“場”。障がいのある方が児童の先生役を務める“場”。先生が教育と福祉を融合させる“場”。単なる場所ではなく、関わる人のコミュニケーションによって新たな価値が創造される“場”です。足を踏み入れた誰もが笑顔にあふれ、思いやりに包まれ、共にいる喜びを共有できる不思議な教室。福祉概念を革新する力であり、差別のない社会作りの発信地。それが「志免南小学校内 福祉創造塾ふれあいの部屋」です。ここで生まれた思いは、児童、先生、障がい者、職員、PTAから、地域全体に広がり、人生設計の礎を創ります。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
プロデューサー
社会福祉法人柚の木福祉会 理事長 白谷 憲生
ディレクター
社会福祉法人柚の木福祉会 理事長 白谷 憲生
デザイナー
社会福祉法人柚の木福祉会 理事長 白谷 憲生

詳細情報
利用開始
1999/04/01
販売地域
国内
設置場所
福岡県糟屋郡志免町大字吉原556志免南小学校内
背景
設立当時(1999年)の社会は、障がいを知らないために生じる差別、「自分には関係ない」という考え、“助けてあげる”感覚で、障がいのある方は生きることに辛さを感じていました。福祉においても、障がいのある方が受け身になってしまう指導や訓練が当たり前で、施設自体が社会に閉ざしていました。このような旧来の障がい福祉概念を打破し、現場から社会変革を起こすため、ふれあいの部屋を設立しました。
経緯とその成果
違いを尊重しながら、あったかい鍋を囲む家庭をもイメージできる「多様な人々との団欒」
デザイナーの想い
設立の目的は、障がいに対する概念を変えることでした。障がいのある方と共に活動することで、こどもたちは家庭へとやさしさを持ち帰り、そして地域へと広げていきます。活動の中でその広がりを実感できる場面も多々あり、地域全体をやさしいまちにするこのデザインを手掛けてよかったと、心から思っています。個々の違いを尊重し受け入れる、まるで大家族が本当の鍋を囲んでいるように集う姿を、ぜひ体感していただきたいです。
企画・開発の意義
“ダイバーシティ”=個々の違いを尊重し、その違いに価値を見つけ活用する。それは、様々な素材を一つの“鍋”でいただく日本独自の文化に通じます。そして、それぞれが違う時間を生きながら、お互いを大切に思いつつ暮らす社会の基盤単位、”家庭“。この3つをキーワードとして、こども、障がい、地域、教育、福祉といった多様性を結び、和やかで楽しい団欒のある、「鍋を囲む家庭」を目指しました。
創意工夫
仕切りのない廊下でつながった、1年生の隣の教室をそのまま使用しています。その為、休み時間に児童が自由に遊びに来ます。学校の一員として運動会や卒業式などの行事に参加したり、総合学習のゲストティーチャーとして招かれたりもしています。ほかにも、先生主催の障がい研修、PTA総会でのグッズ販売、記念モニュメントの共同制作など。ここがダイバーシティの場であり続けるように、児童、先生、PTA、地域、行政、議会とつながるネットワークを形成してきました。障がいのある方は「自分と家族だけの世界」から「こどもたちとの世界」へ。さらに、「こどもたちに教えるという能動的な世界」へと導かれます。児童は「受動的福祉教育」から、「自主的体験型福祉教育」へと変わりました。こどもから大人へ、そして地域全体へ、「多様性の結びつき」という新しい価値観が確実に広がっています。福祉の仕事という概念まで変わってきていると感じています。
仕様
小学校内余裕教室
どこで購入できるか、
どこで見られるか
福岡県糟屋郡志免町大字吉原556志免南小学校内
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
横川 正紀色部 義昭上田 壮一南雲 勝志山崎 亮
評価コメント
障がい者を社会に隅っこに置いて手厚く支援するのではなく、日頃から当たり前のように生活空間を共にし、互いに違いを尊重し、尊敬しあえる環境作りが、真のダイバーシティ社会の実現には不可欠であろう。その点で、15年を越える長期にわたり小学校の小さな教室で活動を続けてきた、この活動の成果はもっと多くの人に知られるべきだと感じた。垣根の無い「心」を持った子どもたちが成長して社会に巣立っていく、その全てのプロセスが優れたソーシャル・デザインになっていると思う。
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