受賞ギャラリー
2019
グッドデザイン賞
旧城崎消防署コンバージョン・プロジェクト
UTSUROI TSUCHIYA ANNEX
受賞対象の詳細
城崎は温泉と文学の町として知られ、近年、観光客が急増している。この建築は、旧消防署を有効利用するための公募プロポーザルの当選案である。城崎出身の日本画家、山田毅氏の風景画を軸に、カフェ、ギャラリー、宿泊室を配置している。氏が描く、この地に特徴的な川霧で、旧消防署を街並みに馴染ませることをデザインのコンセプトとしている。
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デザインのポイント
- 街を50年にわたって見守ってきた旧消防署を生かし、旅行者のための施設として再生した。
- この地域の風景を描いてきた日本画家の作品を建築に組み込むことで、来訪者は地域の風景を再発見する。
- 風景画に描かれた川霧の空気感で、RCのスクエアな既存建物を包み、古い旅館の街並みになじませる。
プロデューサー
シャン・デュ・ガトー 共同代表 河本善光
ディレクター
垣田博之建築設計事務所 垣田博之
デザイナー
垣田博之建築設計事務所 垣田博之

デザイナー:垣田博之
詳細情報
利用開始
2018/09
設置場所
兵庫県豊岡市城崎町湯島字湯の元584-1
背景
城崎は、ミシュラングリーンガイドへの掲載などをきっかけに、この6年で海外旅行者が40倍に増加した。旅行者は7つの外湯めぐりの中で、歴史ある街並みを楽しむことができる。このプロジェクトは、城崎の使われなくなった旧消防署を有効利用し、賑わいや景観に貢献する施設とするための市の公募プロポーザルへの応募案である。城崎出身の日本画家、山田毅氏の風景画を軸に、街歩きの中で一息つく場所を求める旅行者に対して、カフェ、オープンカフェ、ギャラリーを1階に設け、食泊分離を要望する海外からの旅行者に2階の宿泊室を設けた。山田毅氏が描く、この地に特徴的な川霧でこの古いRCの建物を包むことで、木造3階建の旅館がつくりだす街並みになじませることをイメージした。施設名称の UTSUROl は、この地の季節や風景、さらに、旅行者、歴史、街を継承する人のうつろい (移ろい、映ろい)を含意したプロジェクト・コンセプトである。
経緯とその成果
城崎には街路ごとに特色ある景観が、歩くにしたがって切り替わっていく魅力がある。旧消防署は3つの街路の結節点に位置し、城崎の中心部から来る旅行者を迎え入れる場所にあって、前面街路は消防車のために広場のようになっていた。ここに旅行者が外湯めぐりの途中で立ち寄れるデッキテラスとカフェを設け、街路からメッシュスクリーン越しに2階の宿泊室の庭が見えるようにすることで、街路と一体となった落ち着きと賑わいをつくりだそうとしている。 城崎には、駅は玄関、通りは廊下、外湯は大浴場、旅館は客室という言葉がある。旧消防署の再生で生まれたこの建築が、新たな場と風景をもたらすことを期待した。オープンから8ヶ月を迎える現在、宿泊客の9割は欧米、豪を中心とした海外からの旅行者で占められ、1階のオープンカフェ、カフェ、ギャラリーも多くの旅行者で連日の賑わいを見せている。
仕様
旧消防署コンバージョン、面積(敷地:344.21m2、建築:233.35m2、延床:436.56m2)、RC造、地上2階(1階:カフェ+ギャラリー、2階:宿泊)
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審査委員の評価
担当の審査委員
永山 祐子浅子 佳英林 厚見山梨 知彦
評価コメント
6年で海外からの旅行者が40倍に増えたという城崎の消防署を旅行者拠点としてカフェ、ギャラリー、宿泊施設にするコンバージョンプロジェクト。硬いRCの箱型建築に柔らかいスクリーンをかけ外壁を木と木サッシで構成することで優しいファサードにし、大きなデッキを設置して内外合わせて人の居場所を設けるなど、魅力ある場所をつくりだしている。これから観光産業がますます活発になる日本において公共施設のコンバージョンの好事例となっている。
