受賞ギャラリー
2017
グッドデザイン特別賞[ものづくり]
にんじん
こいくれない
受賞対象の詳細
こいくれないは、紅色が特長の甘みの強いニンジンです。カロテンおよび、一般のニンジンにはほぼ入っていないリコピンを豊富に含みます。2016年に露地野菜で初めての栄養機能表示(ビタミンA)を獲得しました。こいくれないは非常に旬が短く、同地域で収穫できる期間は1ヵ月しかありません。流通量が少なく、家庭の食卓まで届けることは難しいとされていました。NKアグリは、全国の農家さんをつなげて産地リレーを行い6ヶ月間の流通を実現。作年度は約50万袋を流通。本年は200万袋まで拡大予定です。チームを支えるのはIT技術。リコピンが最も含まれる旬を全国のセンサーから予測。安定した品質で生産を実現しています。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
プロデューサー
三原 洋一(NKアグリ株式会社代表取締役社長)
ディレクター
中川 優(N/Y inc.)(アートディレクションを担当)
詳細情報
発売
2014/10/01
価格
オープンプライス
販売地域
国内
設置場所
スーパーマーケット
背景
少子高齢化が進む日本において、食の需要は、大きく変化を始めております。「健康」「安心安全」「個食」など、大量消費の時代とは異なる価値観を消費者が持っているにも関わらず、市場流通の仕組みは、戦後の「モノがなかった時代」と変わらないままです。 既存の市場流通においては、野菜の「見た目」が厳密に求められてきました。しかし、形にこだわったことによって、栄養価やおいしさが失われてきたことも事実です。NKアグリは、「美味しさ」と「保健機能」を評価の軸にした新しいバリューチェーンの構築を目指すために、この「こいくれない」のビジネスモデルデザインをはじめました。 また、農業界は地域を超えた連携が少なく、情報が閉ざされてしまっています。「こいくれない」のように品目を通し産地が連携し、地域を超えたチームを生み出すことで、野菜が安定した価格で流通され、持続的な農業の実現に貢献していけると考えております。
経緯とその成果
カタチの農業から中味の農業に
デザイナーの想い
2009年より農業に参入し、様々な品種の栽培を試すうちに、おいしい品種と、作りやすい品種は明確に違うことが分かってきました。おいしい品種や栄養価の高い品種は量が取れず、綺麗な形には作れないのです。また、スーパーの店頭で試食販売を行う中で、消費者の興味が野菜の重さや見た目ではなく味や食感、栄養にあるということも同時に掴んでいました。 カタチと重さという規格によって、個性を失わされ、コモディティ化されてしまった日本農産物。気付けば需要からも大きくずれてしまっています。これには情報が行き交いがなく、サプライチェーンが分断されていることに原因があります。「こいくれない」を世に送り出す取組みは、生産者、流通、小売り、消費者という人々をつながりをデザインしたものです。改めて消費者の声に真摯に向き合い、サプライチェーンをリデザインすることで、これからの農業のロールモデルになり得ると考えています。
仕様
リコピン含有量、およびビタミンA含有量が保証されたにんじん250g(レギュラーサイズ2本セット)。全国50の農家さんと産地リレーしているため、生産場所は販売時期によって異なります。
どこで購入できるか、
どこで見られるか
カスミ、イトーヨーカ堂、オークワなどの全国のスーパーマーケット、生協
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
廣田 尚子青山 和浩小林 茂ナカムラ ケンタ林 千晶
評価コメント
「こいくれない」が持つ栄養的高価値という強みと、一箇所での生産時期が短いという特性の弱みを、産地のリレーという仕組みのアイデアとIoTによる生産地予測という技術の裏付けによって解決したビジネスモデルには、ダイナミックなデザイン力を感じて高く評価した。一見ネガティブな要素を核として、アイデアと技術という戦術を使うことによって高い付加価値を具現化する高度なデザインと言える。規模が小さい企業やベンチャー企業こそ、デザインの力を上手に使って飛躍できるという好例だ。
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