受賞ギャラリー
2019
グッドデザイン賞
集合住宅(賃貸)
LEGALAND中目黒
分類タグ
住宅
事業主体名
株式会社リーガル不動産
受賞番号
19G120946
受賞対象の詳細
19のフロアレベルからなる賃貸集合住宅。既存の高低差を活かし、各住戸に高さ62cmのレベル差を設けた。小さなレベルの独立性が生まれ、踊場は各住戸のポーチのような場になった。匿名性が高い共用部に、各住戸の気配が感じられる場をつくりたかった。トレンチコートの裏地のデザインように、表層からでは読み取れない「奥性」を表現した。
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デザインのポイント
- 敷地高低差を活かし、各住戸にレベル差をつけた。踊場は、独立性を有し、住戸のポーチのような場になった。
- 入口に厚さ35mmの薄肉高強度コンクリート庇を設置。コートの裾が捲り上がったような表情をつくった。
- 青いスタッコ仕上の壁を配置した。画一的になりがちな賃貸住宅に、その住戸ごとの個性、「裏地」をつけた。
プロデューサー
株式会社リーガル不動産 山名孝宏
ディレクター
株式会社リーガル不動産 大坂大樹
デザイナー
株式会社プラスマイズミアーキテクト 真泉洋介+株式会社島田宇啓建築研究所 島田宇啓、湊景亮
利用開始
2019/03
設置場所
東京都目黒区東山1−17−9
背景
計画敷地は、矩形ではない複雑な区画形状と大きな高低差が共存していた。街区形状と高低差の複雑さは、台地と谷と川が入り組んだ中目黒の街の個性ともとれる。私たちは、その敷地のコンテクストを住まいの個性に生かすことで、この場ならではのデザインに繋げられないかと考えた。また、中目黒の街の「奥性」に興味があった。この街はわかりづらい。行き先が定まっていないと、どこに行けばいいかわからない。いいお店は見つかりづらいところにこっそりと潜んでいたりする。外見の素っ気なさと内側の空間の表情に特徴をつけ、住まい手がこっそりと知る、「奥性」をつくりたかった。街の通りから一本入った、細い路地を歩くような、そんな集合住宅の共用部ができないか、街中の住戸の緑が道にはみ出すような、共用部と住戸の関係性が作れないかと考えた。画一的になりがちな賃貸共同住宅にその地ならではの個性と人の気配を生むことができないかと考えた。
経緯とその成果
トレンチコートは軍服として求められる防水性という機能性を表に確保し、デザインを「裏地」に施したと聞いた。「裏地」と、中目黒の「奥性」というのがリンクした。コンクリート壁構造の重く厚い壁の表の顔。共用部は、重いものを極端に薄く表現し、街から住戸へ軽やかに導きたかった。入口の庇は厚み35mmの薄肉高強度コンクリート(HPC)を採用した。コートの裾が捲れたように折れ上がった庇が、人々を迎い入れる。共用部には、各住戸に高さ62cmの小さな独立性をつくった。住戸のはみ出しを許容するようなイメージで、踊場は各住戸のポーチのような場になった。階段手摺壁は厚み9mmの鉄板でつくった。吹抜けを貫く、らせん状の一本の薄い帯がくるくると降りてくる。室内には青いスタッコ壁を吹抜けや開口周りに施し、各住戸に個性をつけた。エントランス、共用部の空間構成、住戸内の仕上に、表からではわからない、「裏地」の表現を施した。
仕様
敷地面積:225.19㎡ 建築面積:123.62㎡ 延床面積:599.43㎡ 主体構造・工法:鉄筋コンクリート壁式構造 階数:地上5階、地下1階 用途:共同住宅 住戸数:16戸
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審査委員の評価
担当の審査委員
仲 俊治小見 康夫千葉 学栃澤 麻利
評価コメント
東京の特徴の一つである微地形、その魅力を最大限に生かした集合住宅である。わずかな敷地の高低差をそのまま内部の共用階段に持ち込み、少しずつレベルを変えながら、多様な住戸が展開している。集合住宅においては、とかく共用部はそっけない空間になりがちだが、地形的な要素を持ち込むだけで、これだけ豊かな空間が広がることは、驚きである。このような階段ならば、そこに佇むことも、また居住者と出会うことも、絵になることだろう。
