受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン賞
学童及び小規模集合住宅
離島地域の新たな場づくりのための移住者用アパートと学童保育施設
受賞対象の詳細
五島市福江島の小規模集落において、地域の住民が主導して、子供達が利用する学童保育施設と移住者向けの小規模集合住宅を併設する場所づくりを行うことで、移住者そして地域住人が、子供達との自然な関わりを通して交流を深めるなど、集落の核となる場所づくりを行った。
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デザインのポイント
- 離島の住民が主導した子供と移住者の居場所づくり
- 敷地を学童とアパートだけでなく、それらの中間域となる広場スペースに分け、交流を促している
- 島の民家で昔から用いられていた杉板貼りの建物を連棟させることで、場の一体感と地域への波及を狙っている
ディレクター
草草舎 有川智子
デザイナー
HAG環境デザイン 橋口剛

利用開始
2020/03/31
設置場所
長崎県五島市堤町2017
背景
建物は五島列島福江島の中心市街地から車で10分ほどの島の中心部の集落に位置する。 離島部の小規模な集落ということもあり、人口の流出と少子高齢化が進展し、コミュニティの衰退がみられる地域である。近年、有志らによる呼びかけの効果もあり、島外からの移住者は増加傾向にあり、地域には明るい兆しも見受けられる。一方で、移住してきたにもかかわらず、地域社会に馴染めずないなど、移住者の定住に対する課題も見られるようになってきた。 また、当集落においては、共働き世帯の増加とともに、学童保育へのニーズが高なったことを受け、地域の有志らによる特定非営利活動法人法人が立ち上げられた。当法人は、学童保育と移住者向けの集合住宅を併設させた施設をつくることにより、地域の子供達と移住者そして地域の住民が日常的に交流し、地域を育成のための核となるよう願いを込め、この場所は作られた。
経緯とその成果
敷地にこの2つの建物を配置するにあたり、まず、学童施設と集合住宅との距離感にについて考察した。前面道路に対し、地域に開く場所として学童施設を配置し、一定のプライバシーの必要な移住者向け集合住宅を敷地奥に配置した。その中間域には、日常的には子供達の遊び場となり、また、地域の交流の場となるように広場を設け、移住者とともに子供や地域の人々が自由に行き来することができるよう計画した。そのことにより、集合住宅の住人が、一定の距離感の中で、地域や子供達と接することができるよう仕掛けを行なっている。双方の施設の外観は、集落において昔から用いられていた杉板張の外壁とし、風景に馴染むよう配慮するとともに、地域の風景的特性を今に伝える役割を担っている。開設から2ヶ月余りが経過した現在、学童及び集合住宅ともに、多くの問い合わせがみられ、予想を大幅に上回る問い合わせが寄せられている。
仕様
学童保育施設(おうとうのいえ):面積(200.07m2,89.43m2,74.53m2)、木造軸組工法、平屋建て 移住者用小規模集合住宅(本山ヒルズ):面積(433.04m2,79.50m2,141.61m2)、木造軸組工法、2階建て
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
手塚 由比小見 康夫千葉 学山﨑 健太郎
評価コメント
移住者と学童というプログラムのマッチングにこのプロジェクトの可能性を感じる。知らない土地に移住してきた人たちにとって、学童へ通ってくる子供たちの姿は心安らぐ瞬間を与えてくれると思うし、離島の暮らしとは異なる世界からやってきた移住者の存在は、子供たちの好奇心を小さく、くすぐってくれるかもしれない。幸せな出会いが離島の明るい未来につながってほしい。
