受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン賞
放送局
福島テレビ株式会社本社
受賞対象の詳細
地域に根差す放送局の本社建替えである。同じ敷地にあった旧社屋は、震災により甚大な被害を受けた。新社屋は、放送機能を守る外壁と必要最小限の窓の積層による機能美として表現し、通り抜けできるエントランスや地域に開放される広場により、いかなる時も地域に根差し放送を継続できる堅牢性と親しみやすさを兼ね備えたデザインとした。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 既成のセメント版に目地を一本刻み、一枚毎に手作業で表情のある塗装を施し、工業化製品の新たな表現を実現
- バス停と地域開放広場を結ぶ貫通型のエントランスホールにより、放送局とまちを繋ぐ歩行者の流れを創出
- 吹抜けのコミュニケーションラウンジにより、災害時にも有用な自然換気と収録風景等の情報発信を両立
プロデューサー
福島テレビ株式会社
ディレクター
株式会社三菱地所設計 建築設計二部 寺山直宏
デザイナー
株式会社三菱地所設計 建築設計二部 田中康達

田中 康達
利用開始
2020/04
設置場所
福島県福島市御山町2-5
背景
放送局はスタジオや編集室、調整室等、機能上の理由から窓を必要としない部屋が多く、セキュリティも強固な為に閉塞感のある印象となる事がある。また、建設時には放送設備にも多額の整備費用がかかる為、昨今の建設工事費の高騰も相まって、特に外装コストを抑える必要があった。そこで、遮音性能を確保する外壁材に、従来のコンクリート系素材ではなく既成の押出成形セメント版を用いる事とした。同様の理由で、地域に開かれた共用空間の創出も減少傾向にある。本計画では、放送機能・働く社員・地域との接点、それぞれに求められる空間を交互にボリュームをずらして積層し、地域のシンボル信夫山を背景に遠くからでも一目で分かる姿とした。更に工業化製品の外装パネルに敢えて手作業の鈍い表情を与える事で、堅牢でありながらどこか親しみやすく、コンテンツ創造の現場と地域との距離を縮め、復興に向け「ふくしま」と一緒に歩む放送局を目指した。
経緯とその成果
放送局の根幹は良質なコンテンツの創造にあり、それは人やまちとの交流から生み出されると考えた。よって、放送技術の高度化や経済合理性の追求に応え、機能的な美しさと誰もが近づいてみたくなる柔らかい表情を持った建物とする事を目標とした。放送継続の使命を果たす為、窓を必要としない部屋は、下階のスリット状の横連窓の軒先に吸気口を仕込み、外壁裏の扁平ダクトを経由して自然換気が可能なシステムを構築し、万が一の空調ダウンにも備えている。外壁パネルは、幅900mmの規格サイズに目地を入れて幅450mmの見え掛りにアレンジし、ボリューム感の中に繊細さを持たせた。また遠くからも見えるガラス張りのコミュニケーションラウンジでは、収録はもちろん社員の交流会も開催され、地域メディアの活気をまちに届けている。地元小学生の見学会等も想定されており、ここから新たな交流が生まれ良質なコンテンツが発信されていく事を願っている。
仕様
敷地面積:6,716.34㎡/ 建築面積:1,219.66㎡/ 延床面積 :6,218.33㎡/ 主体構造:鉄骨造(一部SRC造)基礎免震構造/ 階数:地上6階 塔屋1階
どこで購入できるか、
どこで見られるか
福島県福島市御山町2-5
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
原田 真宏遠山 正道永山 祐子吉田 愛
評価コメント
福島の復興における象徴は多数あろうと思うが、放送局としての重要な役割などを経て、まさに街の真ん中に穏やかなシンボルとして成立した。単なるモニュメントではなく、建築だからこそ可能となる機能やボリュームを存分に発揮し、堅牢さ親しみやすさ解放される広場、などを言葉以上に実現させていると感じる。
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