受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン・ベスト100
宿泊施設(貸別荘)
Looop Resort NASU
受賞対象の詳細
那須の森の中につくられた、太陽光発電所を兼ねた宿泊施設。自然と一体となる宿泊体験を通じて、アウトドアで遊んだり、森の生態を観察したりしながら、自然エネルギーについて学ぶ場となる。会社の保養所としての活用だけでなく、貸別荘、貸ホールとして一般にも開放され、地域活性化を目指している。
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デザインのポイント
- 森と太陽光発電施設を共存させるために、既存樹木の伐採を最小限にし、木立の間に配置された宿泊施設
- 太陽エネルギーを大屋根で発電し、その下に大きな軒下空間をつくる、人と自然のソーラーシェアリング
- 雨水循環した棚田状ビオトープと、そこに面して折り重なるテラスがつくる自然と調和したランドスケープ
デザイナー
株式会社SUEP. 末光弘和、末光陽子+Poten-Poten 加藤隼輝+株式会社エスエフジー・ランドスケープアーキテクツ 大野 暁彦(ランドスケープ)

詳細情報
利用開始
2019/06/30
設置場所
栃木県那須郡那須町大字高久乙字遅山1865-734
背景
事業用地の森は、もともと企業の保養施設を撤去した後の遊休地で、発電所用地として購入したものの、別荘地内であることから、景観上、建築・工作物の設計などに制約があった。そこで、別荘地の管理組合と協議を重ね、木を切らずにパネルを配置する「自然共生型宿泊施設」として開発を進めた。樹木の形状と配置を調査し、樹木の陰を避けるように精緻に日射シミュレーションを行い、森に溶け込む分棟型の配置している。近年メガソーラーは、クリーンエネルギー利用の発電施設でありながら、自然破壊や景観破壊が懸念されているが、ここでは、森や人と共生する新しいタイプの発電施設としての提案である。
経緯とその成果
森の木を保存しながら建築するプロセスは、困難の連続であった。まず、数百本に及ぶ樹木の配置や形状、高さなどを実測し、樹木の専門家とその健康状態などを確認していった。私たちの判断は、森を健康に維持していくためにどうするかというもので、最大限既存樹木を保存しながら、健康状態の悪い樹木や日射を遮りすぎる樹木には手を入れていった。森と共生しながらの発電効率を考えると、必然的に大きな屋根が高い位置にまで伸び上がるため、逆にそれを利用して大きな軒下空間のテラスや、木登り感覚で高さ方向に立体性をもたせた内部空間をつくった。特徴的な大きな屋根は、鉄骨のフレームを地組みし、大きなクレーンで森を傷めないように慎重に釣り上げられた。経済だけを優先した発電施設ではなく、そこにある自然を守り、経済性とのバランスの中で共生を実現した、世界的にも新しい試みであり、プロトタイプとして社会で拡まることを期待している。
仕様
面積:敷地面積_7458.84㎡、建築面積_297.91㎡、延床面積_252.30㎡ 主体構造・工法_木造軸組工法 階数_地上2階建
どこで購入できるか、
どこで見られるか
現地にて
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
原田 真宏遠山 正道永山 祐子吉田 愛
評価コメント
もともと発電所用地であった森だが制約上発電所としての利用を断念し、森や人と共生する新しいタイプの発電施設をかねた自然共生型宿泊施設として開発されたプロジェクトである。木を切らずにパネルを配置するために、精緻なシュミレーションや樹木の調査に基づき、木々を避けた高い位置に屋根を配置することで解消している。それらの条件を逆手にとって広々とした軒下空間や高さ方向に立体性に伸びる特徴的な内部空間を生み出したプロセスも秀逸である。またデザイン的に手を加えることができない太陽光パネル自体を一枚の大きな屋根として扱い機能と美しさを両立し、魅力的な建築群として森の風景に馴染ませている点など、課題を魅力に変える設計者の発想と技量を高く評価したい。自然と建築が共生するこれからの時代の建築の姿としても貴重な試みである。
