受賞ギャラリー
2020
グッドデザイン賞
排泄介助
夜間ぐっすり排泄ケア
受賞対象の詳細
排泄介助を必要とする人が夜間しっかり眠れるための、新しい排泄ケアの方法。従来行われていた頻繁なパッド交換を見直し、適切なパッドと洗浄液を用いたスキンケアの徹底により、就寝中のパッド交換を極力なくす「引き算」の発想により、被介助者の夜間睡眠・昼間の覚醒の向上と介助者の負担軽減、それに伴う両者の意欲の向上を実現した。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 介助が必要になっても、夜はぐっすり寝て、昼間元気にやりたいことをできる「あたりまえ」の実現に貢献
- 介護業務の「引き算」による効率化と「ご本人に寄りそう」という形での介護の質の向上を結び付けた
- 誰でもできるよう、要点をシンプルにまとめるとともに、豊富な実践事例をもとにQ&Aも充実させた
プロデューサー
株式会社ベネッセスタイルケア 執行役員 祝田健+ユニ・チャーム株式会社 執行役員 木内悟
ディレクター
株式会社ベネッセスタイルケア 福田亮子、加藤夕子+ユニ・チャーム株式会社 花城健斗、佐々木一真、鈴木琢真、田中淳一郎、平田学
デザイナー
株式会社ベネッセスタイルケア 福島隆顕、吉野瑞穂
詳細情報
利用開始
2020/05/19
価格
(ケアの方法自体の利用は無料。ケアに用いる排泄ケア製品(おむつ・パッド)や洗浄液の購入にかかる費用は、この方法を利用してケアする方が、ケアされる方やそのご家族・保証人の方と相談のうえ決定する。)
販売地域
国内
背景
従来、介護施設では個々の入居者の排泄状態のアセスメントがうまくできておらず、一律に2時間おきの巡視の都度のパッド交換をするのがいわば「当たり前」であった。しかし、それが入居者の安眠を妨げ、昼間の覚醒度の低下に繋がることも多かった。介護職にとっても、パッド交換の多さで時には休憩も取れなくなるなど、負担が大きかった。夜間のパッド交換の回数を減らす「引き算」をすれば、入居者は夜間しっかり眠ることができ、その分昼間の覚醒度が上がり、様々な活動を楽しむことができる。介護職はパッド交換の負担が低減し、その分記録を充実させたり入居者に寄りそう時間を多く取れるようになる。入居者が生き生きと生活することは、介護職や家族にも良い影響を及ぼす。使用するパッドの数の減少は、パッド購入にかかわる入居者や家族の経済的負担の低減に繋がるほか、ごみの削減による施設のコスト削減や環境保全にも役立つ。
経緯とその成果
介助者にとっての「当たり前」の見直しを実現するため、アセスメントに基づく排泄ケアの削減という「引き算」が、単なる効率化にとどまらず、本来目指している「ケアの質の向上」につながることを職員に伝えた。研修では、使用するパッドや洗浄液の実演を通し、入居者にとっての快適性が実感できるよう工夫した。取組中は、睡眠・意欲・ADLの定期評価により効果を可視化し、実感を持てるよう配慮した。取り組みがうまくいかなかったホームにも、他ホームの成功体験や困りごとの解決法を共有し、皆がうまくいくよう配慮した。その結果、開始から3ヶ月の549名の入居者のデータにおいて、睡眠は7割、意欲は4割、ADLも2割強で改善が見られた。中には、寝たきりで経管栄養だった方が、経口摂取可能となりアクティビティに参加できるようになったケースもあった。職員に余裕が生まれ、ご入居者に向き合う時間が増加したことも良い影響を与えている。
仕様
【利用者のターゲット】夜間の排泄介助を必要とする人および排泄介助を行う人【利用形態】ウェブサイト上に公開されている情報および同サイトよりダウンロードしたPDF形式のテキスト【利用範囲】介護サービスを提供している事業者、介護サービスを利用している人、家庭で介護をしている人ならびに介護を受けている人
どこで購入できるか、
どこで見られるか
手法:ウェブサイト「介護アンテナ」、使用するパッド・洗浄液:ドラッグストアなど
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
井上 裕太川上 典李子ナカムラ ケンタ山出 淳也山阪 佳彦
評価コメント
誰にも訪れる介護の問題。従来は、大変なのは当たり前と考えられ疑わず、そして双方に負担が大きかった。この取り組みは、一人ひとり異なる排泄ケアの方法をエビデンスとともに公開することで課題を解決しようとする仕組み。応募企業の「その方らしさに、深く寄りそう」という理念をそのまま体現した、丁寧なアプローチを大いに評価した。引き算の発想が効率化やゴミ削減にもつながった点も着目したい。
