受賞ギャラリー
2021
グッドデザイン賞
交流施設
ひみつジャナイ基地
受賞対象の詳細
アートを通じて交流人口を増やし、将来に渡り継承可能な「道後らしさ」の再構築を目指す、道後アート 2019・2020の活動拠点として、コンペにおける最優秀作品をベースに建設。お互いのひみつをひみつじゃなくする(共感・共有する)ことで多様性を認め合う場として、イベント、観光案内等、地域や旅人など様々な人に利用されている。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 地域の特性を読み込んだデザインにより、景観と調和しながら地域の顔となるアイコニックな表情を獲得。
- 設計コンペでの現地滞在プログラムや地域の職人との連携により、施設が自らのものと思えるプロセスを共有。
- 東屋のような半屋外空間とし、道行く人が気軽に立ち寄りたくなるとともに、多様な利用が可能な空間を実現。
デザイナー
松本樹+株式会社愛媛建築研究所 白石卓央

詳細情報
利用開始
2020/06
販売地域
国内
設置場所
愛媛県松山市道後湯月町2-41
背景
道後温泉では2014 年に開催された「道後オンセナート 2014」以降、アート事業が継続されている。道後の象徴である道後温泉本館が保存修理工事に入る中、地域の魅力を内側から引き出すべく、2019年から「道後アート2019・2020」が開催された。本施設は、制作プロセスそのものがそのプログラムの一角を成すとともに、会期終了後にも多様な人々に利用される交流拠点となることが求められた。デザインは、現地に滞在して地域住民との対話やリサーチを行うなどのプログラムを組み込んだ設計コンペで選出された作品をベースに、その選出後も、地元との対話を重ねて運営面とともに内容の再検討が行われた。アートプロジェクトの限られた工期、会期後も想定した多様な利用形態、地元の職人の持つ技術を生かした構法などを考慮し、それらを統合する、地域性を可視化するようなデザイン、アート事業の拠点に相応しい形態の創出を試みた。
経緯とその成果
特徴的な三次曲面屋根は周辺に点在する神社仏閣の屋根を参照し、地域の歴史を踏まえた景観との調和と、地域の顔となる表情の獲得を目指した。構造は円形平面に対して偏心した重心に愛媛県産の桧の大黒柱を設け、周囲を巡る高さの異なる柱から登り梁を集約し、在来構法による三次曲面屋根を可能にしている。東屋のような佇まいは、周囲の建具を取り外すことで内外の空間が周辺と一体化して広がりを感じさせ、門前の通りを往来する人々の利用を促すとともに、空間の可変性を持つことで、アートイベントのみならず観光案内や各種イベントなど、多様な人の利用と交流を生み出す場として利用された。この成果を基に、アート会期終了後も地域の活動・交流拠点として継続的に利用されている。なお、実施設計・施工は地元の若手職人との連携により進められ、地域の方々とプロセスを共有し、施設が自らのものと思えるシビックプライドの醸成に繋げた。
仕様
敷地面積: 173.21 m² ,建築面積 :48.84 m² ,延床面積 :47.75 m² ,建ぺい率: 28.20%(許容:80%) ,容積率: 27.57%(許容:400%) ,構造 :木造平屋建,最高高さ: 4.70m ,最高軒高 :2.30m,屋根:アスファルトシングル葺, 外壁:桧 羽目板張り,開口部:アルミサッシ,木製サッシ,床:コンクリート打放し+防塵クリア塗装,壁:桧羽目板張り
どこで購入できるか、
どこで見られるか
愛媛県松山市道後湯月町2-41
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
伊藤 香織五十嵐 太郎西村 浩平賀 達也
評価コメント
坂の上の角地に置かれたチャーミングな小さな基地.円形平面ながら,偏心した大黒柱や三次曲面屋根によって,開き方をコントロールして,人を引き込む拠点となっている.道後温泉本館に頼っていた観光資源を拡張し地域全体の魅力の創出と回遊性の向上を進める過程の中で,新たに上人坂上に導く拠点は,小さいけれど重要な布石になり得る.「道後アート2019・2020」のためにつくられたが,今後も地域住民と来訪者をつなぐ拠点として活用され続けていくことを期待する.
