受賞ギャラリー
2022
グッドデザイン賞
幼保連携型認定こども園
大分いちごこども園
受賞対象の詳細
住宅地に建つ、既設認定こども園の分園舎である。既存園舎とは広場を介して空間的に繋がり、東西に延び、上下を繋ぐ半屋外スペース、西側には階段と滑り台、東側には上下のテラスを繋ぐ階段と立体的なネット、クライミングホールドが設置されている。子どもたちが立体的に動き回り、遊び、交流することができる遊具としての園舎を目指した。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 通常の保育に加え、創造性を育む立体遊具のような空間は、ソーシャルインクルージョンの実践の場ともなる。
- 既存園舎の増築ではなく、分園舎とすることで、庭を介して機能を分散し子どもたちの活動量を増やした。
- 守られているが開放的なこども園舎を折板構造の曲面大屋根が覆う立体回遊空間として実現。
プロデューサー
社会福祉法人とんとん 理事長 田中カヨコ
ディレクター
社会福祉法人とんとん 常務理事 田中 一旭
デザイナー
DABURA.m株式会社 代表取締役 光浦高史、設計チームリーダー 山中森

詳細情報
利用開始
2021/04/01
設置場所
大分県大分市田中町2丁目16番7号
背景
昨今、共生社会の形成に向けた様々な取り組みが行われている。その中で主軸となるものが「ソーシャルインクルージョン」である。障害がある子もない子も、誰ひとり排除せず包摂し、社会参加する機会を持つことを目指す中で、大分いちごこども園は同一法人の児童福祉施設である障害児通所施設と同一敷地において園庭を中心に施設を共有している。また認定こども園として、社会福祉施設及び幼児教育施設としての性質を持ち、建築基準法の特殊建築物に該当する。近年こどもが利用する児童福祉施設は園児への重大事故や不審者対策、近隣住民への迷惑施設とならないための騒音対策などから、閉鎖的になることが少なくない。 このこども園舎では、十分に守られた環境でありながら、内と外が一体となった解放性と、住宅地の限られた敷地内での分園舎の実現で立体的に空間を展開し、様々な状況の子どもたちが、安全にのびのびと身体を動かせる場の実現を目指した。
経緯とその成果
事業主は、30年に渡る事業の中で、子どもの成長において遊びと挑戦を大切にしている。屋外と動線が繋がった、子どもたちがのびのびと過ごせる空間を既存園舎の増築ではなく分園舎として今回実現した。これは、十分に守られた環境でありながら、内と外が一体となった解放性と、住宅地の限られた敷地内でも立体的に空間を展開することで、安全に遊べる「遊具としての建築」である。また、テラスや立体ネット等の中間領域を多く設定し、子どもたちが回遊でき、建物の中にいる保育教諭が遊んでいる子どもたちを見守ることもができる。このような回遊性や開放性を実現するために、曲面形状で折板構造ボイドスラブの大屋根を採用した。スラブ内に中空円形ボイドを配管することで、約15mの大屋根を梁なしで掛け渡している。敷地形状に沿った屋根を支える壁面と居室の壁面によって生まれた空間は、視線を通しながらも子どもたちの多様な居場所をつくり出している。
仕様
敷地面積:231.39㎡/建築面積:137.62㎡/延床面積:188.23㎡/階数:地上2 階/構造:鉄筋コンクリート造一部鉄骨造
どこで購入できるか、
どこで見られるか
大分県大分市田中町2丁目16番7号
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
伊藤 香織安東 陽子五十嵐 太郎平賀 達也山﨑 健太郎
評価コメント
きわめて明快な建築の構成をもちながら、同時に使える場所において立体遊具のような空間を差し込む、こども園である。外観の大きな特徴となる折板構造による白い曲面大屋根とそれに続く両側の壁は、子供を守る安心感を与えつつ、外光をとりこみ、開放感ももたらすだろう。この内側に入れ子状に部屋が挿入された結果、囲いとの隙間において、テラス、階段、滑り台、クライミングホールド、ネットなど、様々なプログラムが配された。全体としてコンパクトながら多機能の建築として巧みにまとめている。
