受賞ギャラリー
2023
グッドデザイン賞
集合住宅
VIORA
受賞対象の詳細
集合住宅の専用部と共用部の境界の在り様を再考することで「個人の領域」と「共用の領域」をオーバーラップさせ、住むことに留まらないパブリックな空間活用を受容する計画です。専用部と共用部が緩やかに切り替わる境界のデザインにより、住戸内から共用部にかけて、プライベートな営みからパブリックな営みまで住み手が様々に使いこなします。
※ 自動翻訳サービスDeepLを利用して生成されたテキストの場合があります
デザインのポイント
- 目的:集合住宅の共用部と専用部の境界を再考し、共用空間も含んだ豊かな集合住宅環境をつくりだす。
- 方法:共用廊下側にも開いた居室構成、共用廊下から直接接続するバルコニー、中間領域をつくりだす隔壁設置
- 効果:居住機能に加えて、専用空間から共用空間へと連続するアフターコロナの新しい居住概念を生み出す。
プロデューサー
ケイエイツー株式会社 代表取締役 瀬戸一紀
ディレクター
株式会社和久田幸佑建築設計事務所 代表取締役 和久田幸佑
デザイナー
株式会社和久田幸佑建築設計事務所 代表取締役 和久田幸佑

詳細情報
利用開始
2023/04
設置場所
熊本県八代市
背景
コロナ禍を経てリモートワークが社会的に浸透し、職住の在り様が変化定着したことは既知の通りです。在宅時間の増加や、職住が一体となって営まれる暮らし、副業の普及等に対して、集合住宅の共用部と専用部の関係にいくつかの仕掛けを与え、多様化するアフターコロナの生活や人々の活動を受容し更には発展的後押しをする集住環境をつくり出すことを考えました。従来の中規模集合住宅は、通路としての共用廊下に住戸の玄関扉が並び、玄関扉を境に共用部と専用部が明確に区分される構成が一般的です。共用部と専用部が緩やかに切り替わる境界をデザインすることで、共用部に面する専用部が時にはセミパブリックな場所へと変容し、共用部と専用部が一体となって人々のパブリックな活動の場としても機能できる、住居が単にプライベートな場所であればよいわけではない現代において、専用部の一部に個人と社会が繋がる空間的拠点を内包しうる集合住宅を考えました。
経緯とその成果
共用部と専用部が緩やかに切り替わる境界をデザインするための3つの仕掛け。 1)共用廊下に面する部屋の窓を掃き出し窓とし、部屋を共用廊下側に開ける設えとしました。SOHO利用、趣味で古着販売、料理教室など住居の一部をパブリックな場所として活用可能とします。2)共用廊下から直接アクセスできるバルコニー空間を設けました。土足のままプライベートゾーンへと来客を誘うことができます。広めのバルコニーでは、不用品のフリーマーケットを開催したり、自家菜園の野菜を販売したり、趣味のロードバイクいじりやDIYをしたり、様々に活用できます。3)専用部の外周に共用廊下やバルコニーの外部空間を周回させ、周回する回廊に隔壁を一定間隔を開けて設置しヒエラルキーのある外部空間をつくりだします。これら3つの仕掛けの結果として「居住」の幅を一回り超えた活動を受容する空間により、住民それぞれが更なるアウトカムを引き出します。
仕様
敷地面積 1,352.79㎡ 建築面積 398.14㎡ 延床面積 1,507.53㎡ 構造 鉄骨造 階数 地上5階建
どこで購入できるか、
どこで見られるか
熊本県八代市
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
駒田 由香岩月 美穂栃澤 麻利仲 俊治
評価コメント
コロナ禍を経て、このような新しい住戸プランを持つ集合住宅が出てきたことが素晴らしく、この試みは大変共感できる。広い外廊下に直接面した居室をもつ住戸、室内よりも広いバルコニーを有する住戸などは「小商」を可能とする平面計画になっており、今後、住まい手がどのように使いこなし住みこなしていくのか、大変興味深い。 また、量産化も見据えた寸法、材料の検討がなされている点も評価できる。 外構デザインやバルコニー・共用部の緑化対応など、改善点はいくつか見受けられるが、住宅の一部をパブリックな場所として開き、新しい暮らしを実現する集合住宅が増えていくことで、街全体が大きく変わっていく可能性がある。今後の展開に期待したい。
