受賞ギャラリー
2024
グッドデザイン・ベスト100
神社・地域と共に歩む老人ホーム
黒鶴稲荷神社+アズハイム大田中央
分類タグ
住宅
受賞企業
事業主体名
荒藺ヶ崎熊野神社、株式会社チャーム・ケア・コーポレーション、株式会社アズパートナーズ
受賞番号
24G131070
受賞対象の詳細
広場を中心とした神社境内地と老人ホームとの一体開発により、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)の指定解除に取り組んだ事例。閉ざされがちな老人ホームと、地域に開かれた神社の広場を共存させ、事業主体だけでなく近隣住民も加わり、地域コミュニティの継承・再生を目指した。
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デザインのポイント
- 社会課題であるレッドゾーン解除の為に、神社境内地へ老人ホームを招いた事業企画
- 敷地境界をまたいで設けたお祭り広場。高低差を活かし、広場を舞台/バルコニーは桟敷席に見立てた配置計画
- 近隣住民の働きかけに呼応し生まれた活動の連鎖。事業主体と地域が一体でコミュニティの在り方を模索した
プロデューサー
荒藺ヶ崎熊野神社 宮司 井上 高行+大和ハウス工業株式会社 後藤 潤子
ディレクター
株式会社アズパートナーズ 西川 義久、森 暁生
デザイナー
大和ハウス工業株式会社 水野 博行 、山田文宏、小関晃裕 +株式会社ファウンテン 田口 剛章

詳細情報
利用開始
2023/07
設置場所
東京都大田区中央5丁目4-5
背景
計画地である神社の境内地は2018年に土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)に指定された。尊い命が土砂災害により失われてしまう痛ましい事故は、地球温暖化による気候の変化により近年多発しており、本計画地においてもレッドゾーンの解除は喫緊の課題であった。しかし、解除の為には多額の造成費用が必要となり神社のみでの費用負担は困難であった。また、境内地は昔から町会のお祭り等が行われており、長らく地域コミュニティの中核でもあった為、事業に際しては近隣住民の理解・協力が不可欠であった。レッドゾーンは、丘陵地にある寺社仏閣、学校敷地等本計画地のような古くから地域に根付いた場所に指定されているものが多く、事業性、地域との土着性といった難しさから手付かずとなっていることが多い。本事例は、これら課題に対して土地活用による解決の糸口を見出し、大田区で初めてのレッドゾーン解除を行った取組みである。
経緯とその成果
老人ホームを誘致し、広場を中心とした一体的な開発により事業化を実現した。広場は町会の要望をもとに行政協議を経て、敷地境界に囲障を設けないデザインとした。老人ホームの住戸はお祭りを眺める特別な場所となり、入居者がバルコニーに出て楽しむ姿も見られる。採光や眺望だけではない住戸の新たな価値を見出すことができた。また、計画段階や工事中にも、近隣住民からの働きかけにより予期していなかった活動が生まれた。工事中の地層を見学する「地層見学会」等を行い、多くの近隣住民が参加した。本敷地のような古くから馴染みある場所に手を加えることは、その場への想いやコミュニティを失うのではなく、新たな活動や繋がりの契機となることを身を持って感じた。建物完成後も、継続的に町会、老人ホームが一体となり、各種イベントが計画されている。レッドゾーン解除の事業モデルとして可能性を示すことができた。
仕様
敷地面積:2,267.89㎡ 建築面積:992.70㎡ 延べ面積:2,867.29㎡ 主体構造:鉄骨造 規模:地上3階建
どこで購入できるか、
どこで見られるか
東京都大田区中央5丁目4-5
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
評価コメント
神社の再建と事業計画としての老人ホーム誘致を同時に行い、レッドゾーン解除に挑んだ稀有な例であり、実現に至るまでの関係者の努力を讃えたい。
計画段階、施工段階で実施された地域住民が参加するいくつもの企画により、町内会活動が継続的に行われてきたことは高く評価できる。敷地境界を感じさせない地域の広場としての神社境内は、地域住民と老人ホーム入居者との接点となる場となり、双方に多くの利点があるだろう。
開発前の森の風景が少しでも残せなかったか、広場と老人ホームの空間的つながりが実現できなかったかなど、気になるところがないわけではないが、大手ハウスメーカーが手がけたプロジェクトとしては高く評価できる。今後、このように地域と丁寧に向き合って進めていくプロジェクトが増えていくことを期待したい。
