受賞ギャラリー
2015
グッドデザイン賞
マンション
ズーム西新宿
受賞対象の詳細
平成に施行された北新宿地区再開発事業により古い建物が一掃された北新宿1丁目と西新宿8丁目。間を走る通称「税務署通り」は新宿区でも希少な計画道路だ。新築物件が林立する沿道は整備されてはいるものの、一区画の間口が狭く、単調なバルコニーが並ぶありきたりな意匠の集合住宅が目に付く。そこであえてファサードに 「街の記憶を伝承する」という特別な意味を持たせ、集合住宅デザインの既成概念への挑戦を試みた。木造住宅を回想させる木と、近代建築を象徴するコンクリート、金属、ガラスの4要素をバルコニーの手摺に組み込んだデザインは、ピエトロ・モンドリアンの絵画に見るコンポジションであり、『整理された区画』を表している。
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プロデューサー
株式会社トーシンパートナーズ 千代谷直之
ディレクター
株式会社トーシンパートナーズ 開発事業本部 加藤寛
デザイナー
株式会社トーシンパートナーズ 開発事業本部 杉原義法
詳細情報
利用開始
2015/03/27
価格
32,100,000円 〜 57,200,000円
販売地域
国内
設置場所
東京都新宿区北新宿一丁目20番9号
背景
1971年まで柏木と呼ばれていた北新宿1丁目は当時、複雑に道が入り組んだ木造住宅密集地であった。再開発後は旧職安通りが青梅街道まで延長され税務署通りが開通、一帯は区画の整った新しい街に再生したが、沿道に並ぶありきたりな集合住宅のファサードによって、無表情な景観と成りつつある。こうした背景をふまえ、集合住宅のファサードそのものに明確な意図を持たせて街の記憶(再開発)を伝承することの意義を提起した。
経緯とその成果
ありきたりな集合住宅のデザインを打ち破る、バルコニーのコンポジションによる新しいファサードの提案
デザイナーの想い
集合住宅のファサードデザインはバルコニーに由るところが大きいが、デザインの意図が不明確でありきたりな物件が多い。こうした現状への挑戦として、背景のキーワード、「整理された区画」を表現した特徴的なファサードでこの街ならではのデザインを明確に発信した。特に、木、コンクリート、金属、ガラスの4要素のコラージュでコンポジットしたバルコニーは、ファサードの可能性を拡げる画期的な試みとなった。
企画・開発の意義
古い木造住宅が解体された街が新しい景観に生まれ変わっていったさまをひとつひとつのバルコニーデザインで表現。かつての街並みを回想させる木と、近代建築を象徴するコンクリート、金属、ガラスの4要素のコラージュがモンドリアンに見るコンポジションを組み立て、「整理された区画」を想起させる。再開発された街の近代史を集合住宅のファサードが発信し、後世に伝承するという新しい概念を提案した。
創意工夫
遠景では周辺の集合住宅と壁面線を合わせ、低層のカーディーラーと隣接する東側外壁を無彩色の淡いグレーにすることで建物自体の主張を抑えた。一方、近景では近づくにつれ3層を1ユニットとするコンポジションが存在感を表し始め、直近で見上げれば4要素5種類のデザインで構成したひとつひとつのバルコニーが目に入る。そしてエントランスには木目曲面壁と奥に続く2層吹抜けのアルコーブを設けて、歩行者空間に広がりを創出した。なおバルコニー面には1枚もタイルを使用せず、堅格子や横ルーバーの隙間を20mm程度に抑えているが、こうしたディテールは歩道への落下物の危険性を低減するため、ならびに壁に汚垂れを発生させず奇麗に保ち、景観的なサスティナビリティーを生み出すための工夫である。さらに多様なバルコニーデザインが各戸のユニークな特徴となり、同じ間取りでも好みに応じて部屋を選べるという入居者へのオプションも提供した。
仕様
■敷地面積238.16㎡ ■建築面積148.00㎡ ■延床面積1469.01㎡■建ぺい率:62.15%(許容 80.00%)■容積率:482.71%(許容 500.00%)■構造・規模 鉄筋コンクリート造・地上13階 ■総戸数41戸
どこで購入できるか、
どこで見られるか
東京都新宿区北新宿一丁目20番9号
※掲載している情報は、受賞当時の情報のため、現在は異なる場合があります。
審査委員の評価
担当の審査委員
古谷 誠章篠原 聡子中村 拓志松村 秀一
評価コメント
都心に近い立地に典型的な間口の狭い敷地でのマンション開発だが、単調なバルコニーが並ぶ外観を避け、繊細な材料選択と立面構成により、都市景観に適度な変化と刺激を与えている点に設計者の力量が現れている。
