審査・評価
グッドデザイン賞では、そのデザインが「くらしを、社会を、豊かにしうるのか」「今後の社会においてよきお手本となりうるか」という視点、つまり社会的またはユーザーにとっての価値や意義という視点を重視しています。そのため、グッドデザイン賞の審査では様々な観点による複眼的思考を基本に、「審査の視点」についてその是非を問いながら、総合的なバランスにおいてグッドデザインか否かを判断します。
グッドデザイン賞では「常にヒトを中心に考え、目的を見出し、その目的を達成する計画を行い実現化する」という一連のプロセスをデザインと考えており、新しく生み出された物事はその「ひとつのデザイン解」として位置付けます。
したがって「そのひとつの解が目的に対して適切であるか?」ということを問うだけではなく、その解を導き出すにあたり込められた思想や思考、その解を導き出すまでの方法論にも重きを置き、その思想や思考、方法論が「今後の社会において創造の連鎖を導くものであるか?」ということも同時に問います。この点がグッドデザイン賞の大きな特徴です。
グッドデザイン賞では常に我々が向き合うべき根源的なテーマとして5つの言葉をグッドデザイン賞の理念として掲げています。この理念は審査において立脚点を審査委員の間で共有する役割となっています。
審査委員は提出された資料から「応募対象が社会において新たに生み出そうとした価値」を理解し、まずはその妥当性を考えます。次に具体的な「かたちや仕組み」を前に、「コンセプト」との関係を判断していきます。つまり、企画の段階で目的とされた意図と、実際に設計されたかたちや仕組みが一致しているか、さらには合理的な設計であるかを観察します。また、そのデザインにより生活や社会に対しどのような新しい価値を提案しうるか、実現しているかについても注意深く観察をしています。
グッドデザイン賞では、受賞する点数や合格率を設定していません。なお、2023年の審査対象数 は5,447件、全受賞件数は1,548件となっています。受賞件数のみに着目すると多い数字に見えるかもしれませんが、そのジャンルは有形無形を問わず多岐に渡るため、個々のジャンルに着目した場合、その受賞数は少ないといえます。