GOOD DESIGN AWARD
2024年度受賞結果
主催者挨拶
Portrait - 深野 弘行 2024
公益財団法人日本デザイン振興会 |理事長
深野 弘行

2024/10/16

2024年度グッドデザイン賞、グッドデザイン・ベスト100、そして金賞をはじめ特別賞各賞が決まりました。受賞された皆様におかれましては、心よりお祝いを申しあげます。

今年度は5,700件を超える応募をいただき、過去最多の2021年度とほぼ並ぶ水準になりました。環境危機、技術の飛躍的な進歩など激しい変化のなかで、デザインは過去の価値観を乗り越えた新たな時代を指し示す役割が期待されており、そのことが活発な応募につながったと感じます。

デザインは、人々との共感をベースに対話を重ね、本質を見抜き、工夫を重ね、共創していくものです。今回も、共感の物語を紡いできた様々な分野のデザインが、良いところを見つけることに重きをおく審査により選ばれました。デザインにかかわった皆様に対して、改めて敬意を表したいと思います。また、齋藤精一審査委員長をはじめ、応募作に真剣に向き合い審査に当たられた101名の審査委員の皆様に対して、厚く御礼を申しあげます。

これから、グッドデザイン大賞選出のプロセスが始まります。これまで、大賞については審査委員、受賞者の皆様、そしてグッドデザイン賞受賞展に来場された方など一般の皆様の投票により選出しておりましたが、今年度は審査委員と受賞者の皆様による投票で金賞の中から選出します。一方、今年からの新たな試みとして、受賞展に来場された皆様全員が参加して、金賞の中から、「みんなの選んだグッドデザイン」の選出を行うことといたしました。一般の皆様が中心となり選んだ結果がどうなるのか大変興味が持たれます。その結果は、大賞とあわせて受賞祝賀会当日に明らかになりますので、楽しみにしていただきたいと思います。

今年度のグッドデザイン賞は11月1日~5日の受賞展、そして11月5日の受賞祝賀会にいよいよ山場となります。ぜひご注目いただきますようお願いいたします。


審査委員長挨拶
Portrait - 齋藤 精一 2024
2024年度グッドデザイン賞 |審査委員長
齋藤 精一

2024/10/16

本年度もグッドデザイン賞への数多くの応募をありがとうございました。また、グッドデザイン賞を受賞されました皆様、おめでとうございます。おかげさまで、今年もたくさんの素晴らしいデザインに出会うことができました。 2024年度は、テーマとして「勇気と有機のあるデザイン」を掲げ、モノとコトを総合してデザインをされている試みと新たな潮流を、さまざまなエントリーから発見することができました。この賞では、カテゴリーごとにユニットとして分かれての審査が基本になっていますが、本年度は今まで以上にユニットを横断して議論することも増え、多角的に評価できるような体制を取り、しっかりと審査ができたと思っています。審査や議論を通じて特に感じたのは、一人の熱意が勇気を創り出し、それが組織やチーム内での大きな勇気となって、有機的な思考と創作によって作り上げられたデザインを数多く評価できたことです。 例えば、介護用洗身機器の「スイトルボディ SWB-1000JP」は、現場の声や困りごとを聞くことで、洗体時間を短縮する製品として作り上げられていました。これはマーケティング主導の考え方ではなかなか実現できない勇気のあるアイデアであり、スタートアップならではの機動力と有機性で可能にしている事例だと思います。また、大きな企業だからこそできるデザインとして、半導体製造装置「Adastra」やナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」は半導体を開発する工程や技術に対し、勇気のある新たな視点で取り組むことで、見事な筐体の美しさを実現し、業界でのフォーマットを刷新するほどの強度のあるデザインをされていました。地域の取り組みである雑誌「プラグマガジン」は、個人から始まった活動であり、「岡山をカッコよく変えていこう」という哲学のもと20年高いクオリティを保ちながら作り続けられ、世代や職位の違う分野の方々をつなげる試みとして、雑誌の力が弱くなりつつある今でもローカルに必要な媒体としてデザインされ続けていました。 デザインとは何なのか?という疑問を、私自身ずっと考え続けています。「美しいものを創り出すこと」「社会課題を解決すること」「社会を、地域を、生活をより良くする活動」「産業や製品を更に発展させる原動力」など様々な解釈があります。どれも正解なのですが、もしかしたら「今をより良くする」ために勇気と有機を持って変化し、考え続け、議論し続けることが今のあるべきデザインなのかもしれないと今年の受賞作を俯瞰して思いました。それはもちろんトレーニングを受けたからこそ生み出すことができるモノ・コトのデザインでもありますが、すべての人がその活動=デザインに参加することができるものでもあります。デザインを生み出すことと、それを道具として使い続けること、そしてみんなでより良く発展することで、良いデザインは更に必ず進化をします。今回の審査では、グッドなデザインが一人の熱のこもったアイデアと勇気を源流としていることがとても良く理解できました。ぜひ本年度のグッドデザイン賞受賞作を通して、皆様の中に必ず存在する「勇気と有機のあるデザイン」を考えていただければと思います。


審査副委員長挨拶
Portrait - 倉本 仁 2024
2024年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
倉本 仁

2024/10/16

グッドデザイン賞を受賞された皆様、おめでとうございます。 本年度も多様な分野からたくさんのご応募をいただき、機知に富んだ未来への提案と多くの豊かなデザインに出会うことができました。デザインの領域がますます多様化し、大小様々な社会課題に対し重要な役割を果たしている現状が受賞結果をみると明らかです。 サステナビリティや環境問題への対応が急務となった今日、持続可能なものづくりの有り様は過去の提案フェーズを経て、今では社会実装を見据えたデザインの基本原則になりつつあります。資源利用の無駄を減らし、長く使えるロングライフな製品やサービス、環境に配慮した素材や製造工程を取り入れたデザインがもはや当たり前になったと言えるでしょう。 また本年度は、先端産業の技術革新とデザインが美しく融合している製品提案も多くみられました。人間中心の設計や生活の質を高めるための細やかな配慮がデザインとして掬い上げられ、研究や開発とより良く調和する姿が求められていると感じます。 社会的な包摂や多様性への配慮も重要な要素となっています。社会的マイノリティの人々や人間以外の動植物・自然環境に視野を広げたインクルーシブな思想の提案、またコミュニティ全体でそれらの問題に取り組む姿勢など未来に向けた明るい提言も散見されました。 現代社会を取り巻く状況は決して明るいものばかりではありませんが、チームや企業、コミュニティ全体の有機的な総力で、またデザインを生み出す作者の勇気に溢れる突破力が大きな課題を少しづつ解きほぐしていくのではないかと希望を感じざるを得ません。いずれのデザインも少なからずそれらの背景から発生した結果であり、そのような視点で本年度の受賞作を眺め、また新たな発見や面白みを感じていただけると幸いです。


審査副委員長挨拶
Portrait - 永山 祐子 2024
2024年度グッドデザイン賞 |審査副委員長
永山 祐子

2024/10/16

今年のグッドデザイン賞応募開始の際に「デザインの力の向かう先」というメッセージを書かせてもらいました。去年のテーマである「アウトカムのあるデザイン」のもと集まった応募作、そして受賞作の傾向と向かうべき未来をもとに導き出された今年のテーマは「勇気と有機のあるデザイン」です。2024年度も多くの応募作が集まり、“勇気と有機“があるかというフィルターを通して約100名の審査委員が活発に議論しながら一次、二次、特別賞と丁寧に審査が行われました。その過程で「デザインの力の向かう先」が多様な広がりを見せていることを改めて感じました。数年前から言われていた「モノ」「コト」議論。今やその境目はほぼなくなり、評価された作品はその両方が備わったものでした。「モノ」のデザインの中にもその裏にきちんとしたストーリーと取り組みがあり、「コト」を支えるのはやはり美しいデザインの「モノ」でした。「産業の発展とくらしの質を高めるデザイン」を顕彰するのがグッドデザイン賞ですが、日本の産業そのものが「モノ」からサービス「コト」に大きく広がりを見せ、人々の暮らし方も在宅勤務、二拠点居住、高齢化社会の中での新しいコミュニティのあり方などへと変化しています。社会におけるイシューもローカル、グローバルを通して、大小様々です。その中で「デザインの力の向かう先」は当然多様になっています。世界のデザイン賞と比べ近年のグッドデザイン賞は、ローカルでミクロな問題に目を向ける細やかな視点が特徴であると昨年は強く感じました。今年ももちろんそういった応募作も多く見られましたが、そこにとどまらない広がり方が特に目を引きました。小さなローカルイシューから始まりながらも、最後は行政を動かす大きなムーブメントに変化するようなことが起こっています。“デザイン“はコミュニケーションツールであり、デザインを通してどこまでそれが伝達していくのか、そんなことを考えさせられる年でした。

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グッドデザイン賞は、公益財団法人日本デザイン振興会が運営しています。